インボイス制度 請求書がインボイスでない場合の源泉徴収税額の取扱い

インボイス制度源泉徴収税額の取扱い 消費税

インボイス制度が始まり、フリーランスの方から「報酬100,000円+消費税10,000円-源泉税10,210円=支払額99,790円」と記載された請求書を受け取りました。
フリーランスの方は免税事業者であるため、受け取った請求書はインボイスではありません。
請求書に記載された消費税10,000円は仕入税額控除の対象外となります。
請求書には報酬と消費税が区分して記載されています。
しかし、消費税は仕入税額控除できないため、源泉税は報酬額110,000円×10.21%=11,231円が正しいようにも思います。

この場合、源泉徴収税額はどのように計算すればいいのでしょうか?

結論

源泉税10,210円の計算は正しい。

報酬・料金等に対する源泉徴収の方法は現行の取扱いから変更なし。

現行の取扱い

国税庁のタックスアンサーに下記のコメントがあります。

原稿料や弁護士報酬などの源泉徴収の対象となる報酬・料金等の中に消費税等の額が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。

ただし、報酬・料金等お支払いを受ける者からの「請求書等」において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象として差し支えありません。

インボイス制度における取扱い

インボイス制度での源泉徴収の方法は、現行の取扱いから変更はありません。

つまり、報酬・料金等の額の中に消費税等の額が含まれていれば、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となり、「請求書等」において、消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象として差し支えありません。

ここでいう「請求書等」とは、報酬・料金等の支払いを受ける者が発行する請求者や納品書等であればよく、必ずしもインボイスである必要はありません。

そのため、免税事業者が発行する請求書(インボイスではない)に、報酬・料金等の額と消費税額等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として源泉税を計算しても差し支えありません。
(「インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収」令和3年12月9日 国税庁より)

つまり、源泉徴収税額の計算においては、請求書がインボイスであろうとなかろうと関係ないということです。

実務上の対応

源泉徴収税額の計算は、これまで通り報酬・料金等の額の中に消費税等の額が含まれているか、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されているかどうかで判断します。

請求書がインボイスであるかどうかは関係ありません。

しかし、実際は、インボイスを発行しない免税事業者からの請求書に報酬・料金等の額と消費税等の額が区分して記載されていると違和感を覚える取引先は多いかと思います。免税事業者なのだから消費税額を記載する必要はないのではないかと言いたくなります。(免税事業者が消費税を請求しても税法上は問題ありません。)

そのため、免税事業者の方は無用なトラブルを避けるべく、消費税等の額は報酬・料金等の額に含んで請求し、消費税等の額を含んだ金額から源泉徴収することをお勧めします。

(参考)
フリーランスに支払う旅費交通費は源泉徴収に注意 はこちら

インボイス制度 免税事業者は消費税の請求を続けることができるのか? はこちら

インボイス制度 出張旅費特例は業務委託先への支払でも使えるのか? はこちら

    

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