インボイス制度 飛行機の航空券は公共交通機関特例の対象外

飛行機 公共交通機関特例の対象外 税金

インボイスの保存なしに一定事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能となる特例の一つに公共交通機関特例があります。
この特例は3万円未満の公共交通機関(船舶、バスまたは鉄道)による旅客の運送についてはインボイスがなくても仕入税額控除できるというものです。
そのため、出張等で電車、新幹線、バスなどを利用した際に利用額が3万円未満であればインボイスを入手する必要はありません。

注意すべきは、飛行機を利用する際の航空券にはこの特例は適用されないということです。

公共交通機関特例の対象

国税庁が公表しているインボイス制度に関するQ&Aに公共交通機関特例の対象について具体的に記載されています。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共
交通機関による旅客の運送で、次のものをいいます(新消令70の9②一)。
① 船舶による旅客の運送
一般旅客定期航路事業(海上運送法2⑤)、人の運送をする貨物定期航路事業(同法19の6
の2)、人の運送をする不定期航路事業(同法20②)(乗合旅客の運送をするものに限ります。)
として行う旅客の運送(対外航路のものを除きます。)
② バスによる旅客の運送
一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法3一イ)として行う旅客の運送
(注) 路線不定期運行(空港アクセスバス等)及び区域運行(旅客の予約等による乗合運
行)も対象となります。
③ 鉄道・軌道による旅客の運送
・ 鉄道:第一種鉄道事業(鉄道事業法2②)、第二種鉄道事業(同法2③)として行う旅客
の運送
・ 軌道(モノレール等):軌道法第3条に規定する運輸事業として行う旅客の運送

つまり、公共交通機関特例は①船舶、②バス、③鉄道(電車、新幹線)、軌道(モノレール、路面電車)が対象となります。

ここに飛行機は含まれていません

航空券のインボイス対応

では飛行機を利用した場合、どのようにインボイス対応すればいいのでしょうか?
税務通信3734号に参考となる記事が載っています。

記事によれば航空会社のウェブサイトや空港などで航空券を購入した場合、その領収書等にはインボイスの記載要件の一つである「課税資産の譲渡等の年月日(飛行機の搭乗日)」の記載がされないとのこと。

そのため、航空会社は、利用者に搭乗券や航空券といった搭乗日の記載があるものと領収書等をセットにして保存することでインボイスとしての記載要件を満たすことを検討しているようです。

また、旅行会社等を通じて航空券を購入した場合は、航空会社に代わって旅行会社がインボイスを交付する媒介者交付特例を活用する方向で検討されているようです。

つまり、航空会社or旅行会社の領収書等+搭乗券・航空券等をセットで保存しておけばインボイス対応としてはOKです。

出張旅費特例の適用を検討

会社が航空券等を購入した場合はインボイスが必要となりますが、会社が従業員に出張旅費として航空券代を支給し、従業員が自身で航空券等を購入した場合は、出張旅費特例の対象となり、インボイスは不要となります。

この場合、一定事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能となります。

出張旅費特例は公共交通機関特例のような金額の制限がなく使い勝手がいいのですが注意も必要です。

会社側が業者と直接決済する場合は出張旅費特例は適用できません。
適用できるのは会社側が従業員等と決済する場合です。
航空券の場合、会社で航空券を購入した場合は特例の対象外となります。

また、従業員等と決済する出張旅費は「その出張に通常必要と認められる範囲内の金額」である必要があります。
常識的に考えて出張でかかる旅費以上の金額を支給している場合は特例の対象外となります。

まとめ

飛行機を利用した場合、航空券は公共交通機関特例の対象外であるため、領収書等+航空券等をセットで保存することによりインボイスに対応することができます。

また、出張旅費として航空券代を従業員に支給するのであれば出張旅費特例が適用できます。

航空券はほかの交通機関に比べて一回あたりの取引額が大きいため、どちらの方法で対応するか事前に検討しておいたほうがいいでしょう。

(参考)インボイス制度 旅費交通費の精算まとめ はこちら

    インボイス制度 入場券等回収特例の使いどころ はこちら

    インボイス制度 出張旅費特例は業務委託先への支払でもつかえるのか はこちら

    インボイス制度 自動販売機特例の適用範囲と留意点 はこちら

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