工数分析で時間単価を見える化する

工数分析で時間単価を見える化する 事務所運営

私は、日々の業務について顧問先ごと・業務ごとに工数(投入した時間)を集計し、分析を行っています。

工数分析は業務改善に大いに役立つと感じています。

工数分析の目的

工数分析では、お客様ごと、業務ごとに投入した時間を集計し、どのお客様のどの業務にどれだけの時間を投入しているかを分析していきます。

工数を正確に把握できればお客様からいただいている報酬(売上高)を工数(労働時間)で割ることで、1時間当たりの売上高(労働生産性)を計算することができます。

1人1時間当たりの売上高(労働生産性)=売上高÷労働時間

私が工数分析を行う目的は、「時間単価の見える化」のためです。

業務改善を行う場合、基本的には時間単価の低いところから改善していきますが、いただいている報酬が低いお客様が時間単価が低いとは限りません。報酬が低くても手間がかからず時間単価が高いお客様、報酬は高くても時間を大量に投入しているため時間単価が低いお客様もいます。

お客様ごと、業務ごとの時間単価を把握できていないと、どのお客様のどの業務から改善していけばいいかを把握することができません。

現状、私は一人で業務を行っていますが将来的には従業員を雇用していくことを考えています。
従業員を雇用するとお客様1社を複数人で担当することになるため、事務所全体でどれだけ業務に時間を投入しているかが把握しにくくなります。

例えば、お客様対応をしている私の業務だけみると時間単価は適正に見えても、記帳業務を行っているパートさんの工数を含めると時間単価が低いということが生じてきます。

そういった改善の取っ掛かりを探すために工数分析を行い、「時間単価の見える化」を行っています。

目指すは適正価格

工数分析を行うときは、「時間単価が低いお客様」よりも「時間単価が高いお客様」を注視しています。

お客様からいただく報酬が高いか低いかは、投入した時間だけで決まるわけではありません。

どんなに時間をかけても、提供するサービスに価値を感じていただけなければ意味がありません。
時間をかけなくてもサービスに報酬以上の価値を感じていただけるのであればその報酬は適正価格です。

そうはいっても、投入した時間というのはお客様に提供したサービスの一つの目安になります。

「工数がかかっていないために時間単価が高い」という状態は、一見効率よく思えますが、十分なサービスを提供できていない可能性があります。

そういった状態を放置していると解約に繋がる恐れがありますので、現在提供しているサービスやお客様への日々の対応を見直すように心がけています。

また、事務所側でどんなに業務改善を行っても時間単価が低い場合は、報酬の見直しを行う必要があります。その場合、お客様になんの資料もなく報酬の見直しをお願いするよりも、かかっている工数と現在の時間単価を基に理論立てて見直しのご説明を行ったほうがお客様に納得いただけると考えています。

工数分析から気づくことは多い

工数分析は、マイコモンという会計事務所向けのシステムを利用して行っています。

方法は簡単で日報にどのお客様のなんの業務を行ったかを登録していけば、自動的に工数の集計、時間単価が計算されます。初めに工数登録時のルールさえ決めておけば手間なく行えます。

工数分析の結果から気づくことは多いです。

私の場合、試算表の作成や決算業務などの本来の業務ではなく、メール対応や調べものなど細々とした業務に時間を取られていることがよくわかります。ここは改善の余地が大いにあります。

また、意外と年間報酬が高いお客様のほうが毎月対応する業務や日々の質問も多く、時間単価が低かったりします。

まとめ

工数分析は開業したら必ず行いたいと思っていたことなので導入できて満足しています。

工数分析を行うと副次的効果として業務への集中力が上がります。
自分の時間単価が出ますので、だらだらと働くわけにはいかなくなります。
集中力なく働いていると、見る見る時間単価が下がっていきます。
適正な工数分析のためにも集中して業務を行うようになります。

税理士事務所の労働生産性は業界平均で4,000円~5,000円と聞いたことがあります。

税理士業界が優秀な人材を獲得していくにはこの数字では厳しいでしょう。

ITツールやクラウドサービスが充実している時代ですから、その倍は目指したいところです。

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