私は1986年生まれで現在38歳(令和6年9月時点)ですが、開業してからというもの「若手税理士」という括りで扱われることがたびたびあります。
30代後半といえば世の中的には中堅、業界歴14年であればベテランと言われてもおかしくない年齢ですが、平均年齢60歳以上といわれる税理士業界ではまだまだ若手という扱いです。
税理士業界で若手といわれる20~40代の税理士に業務を依頼するメリットについて考えてみます。
若手の開業税理士は少数
私の所属する中国税理士会における45歳未満の税理士の割合は全体の約12%です。
中国税理士会に登録する3,000人以上の税理士のうち、45歳未満は400人程度です。
若手税理士は事務所に勤務している場合も多く、開業税理士となればさらに人数は絞られます。
2014年の日本税理士会の調査では、20代は0.6%、30代10.3%、40代17.1%で、20~40代を合わせた割合は全体の約28%と報告されています。
税理士は若い(一般的には若くない年齢でも)というだけで税理士業界では希少な存在なのです。
業界のことを考えると若手が少ない(もっといえば若い人に人気がない)ことは決して良いことではなく、税理士業界全体で問題意識を持ち対策を講じているところです。
若手税理士に依頼するメリット
1.ITやデジタル機器に強い
近年のITやデジタル機器の進歩はすさまじいものがあります。
まさに日進月歩の勢いです。
税理士業界もAIやクラウドサービス、オンライン会議システムなどさまざまなITの活用が進んでいます。
人によって得手不得手はありますが、ITやデジタル機器は若手税理士が得意とする分野です。効率化のため積極的に業務に取り入れている事務所も多くあります。
ITツールを導入して経理業務を効率化していきたいとお考えの経営者は若手税理士に話を聞いてみるのもいいかもしれません。
2.最新の税制に強い
若手税理士は勉強熱心な方が多いです。
税理士資格を取得するぐらいですからそもそも勉強することが苦にならない方が多い。
経験値ではベテランの先生方にはかないませんから、貪欲に知識を取得しています。
毎年改正され、複雑になっていく税制に対応してくれる若手税理士は心強い味方といえます。
3.相談しやすい
年齢差があると相談しにくいものです。
「ベテランの先生にはこんな基本的なことは聞きにくい」といわれることがあります。
ベテランの先生は聞かれたとしてもまったく嫌な顔をしないと思いますが、年の離れた大先生に聞きにくいという心理はよくわかります。
私は経営者と税理士の年齢差は一回りぐらいまでが理想だと思っています。
ワンピースの登場キャラクターで海軍の元帥センゴクというキャラクターがいます。そのセンゴクが元帥という最高位の階級から退くときのセリフに「正義は価値観、世代を超えられない」というセリフがあります。
まさにその通りで、年齢によって価値観や考え方は変わるため年齢差があると価値観等を共有するのが難しくなります。
また、年齢差があると知識と経験の差からどうしても「教える側」と「教えてもらう側」になってしまいがちです。それが悪いわけではありませんが、税理士と対等な関係で相談したいとお考えの経営者は年齢の近い税理士を選ばれたほうがよいでしょう。
4.税理士自身が対応してくれる
ベテラン税理士の事務所は規模が大きく、従業員が多いため、税理士本人は所長として事務所全体の管理を行い、顧問先の対応は従業員が行うことが少なくありません。
10人以上の事務所はこのスタイルの事務所が多いです。
もちろん、重要な案件や相談には税理士本人が対応してくれますが、日々のやり取りは従業員が行うこととなり、税理士本人と面談する機会は少なくなります。
逆に若手税理士は小規模な事務所が多く、従業員数も多くありません。
そのため、顧問先の対応は税理士本人が行うことになります。
税理士本人に対応してほしいという方は若手税理士のほうがあっているかもしれません。
5.仕事への熱意
若手税理士はこれから事務所を大きくしていきたい、顧客を獲得していきたいという熱意にあふれています。まさに「若さ」です。
そのため、依頼された仕事に対して一生懸命に取り組みますし、100%の力で対応してくれます。
同じく事業を大きくしていきたいとお考えの若手経営者の方は話が合うのではないでしょうか。
まとめ
若手税理士に依頼するメリットについて考えてみました。
若手税理士といっても人それぞれです。
上記のメリットに当てはまらない方もいますし、もっと強力な強みを持つ方もいます。
あくまでもその傾向が強いという程度に考えてください。
ベテラン税理士には「経験値」「人脈」「安心感」など若手税理士にはないメリットがあります。
税理士選びの際には、自分が税理士に求めること、重視するポイントを見極め、実際に会って話を聞いてみることをおすすめします。