税理士事務所は商圏を広げるべきか

税理士事務所は商圏を広げるべきか 事務所運営

オンライン会議システムなどITツールの発展により税理士事務所の商圏が広がっています。

しかし、事務所の戦略として商圏を広げるかどうかは悩みどころです。

税理士事務所の商圏

税理士事務所の商圏は、車や公共交通機関を使って30分~1時間以内で行ける距離が一般的です。

多くの税理士事務所は、事務所から30分以内に行ける距離に顧問先が集中します。

これは、お客様はいつでも相談できる距離、何かあったときにすぐに対応できる距離を重視して税理士を探されるため、自ずと近隣の事務所と契約することになります。

近隣といっても車で30分と言えばかなりの距離になります。

その距離の中には税理士事務所がいくつもありますから「近い」という理由だけで契約いただけることはほとんどありません。しかし、候補となる税理士事務所を絞る段階では「近い」というのは一つの判断材料となります。

事務所から1時間以上かかる距離でも契約いただける場合は、どうしてもその税理士事務所に依頼したいというお客様からの指名がある場合が多いでしょう。

ただ、税理士事務所側からすると移動に片道1時間以上かかるというのは考えものです。

ご依頼いただくのはありがたい反面、移動時間は事務所経営ではコストになるため商圏は狭いほうが効率はよくなります。

ITツールの発展で広がる商圏

オンライン会議システムやチャットツールの発展で、税理士事務所の商圏は確実に広がっています。

ITツールを活用すれば全国どこでも対応が可能です。

お客様との面談はすべてオンラインで行い、データはクラウドで共有、日々のご相談はチャットツールで行うという顧問先に訪問しないスタイルの税理士事務所も増えています。

若い経営者の中には、毎月面談してもらわなくても、困ったときにオンラインで面談してもらえばいいと考える方もいらっしゃいます。

お客様が税理士と直接会うことを重要視していないのであれば、税理士事務所は近隣の事務所である必要はありません。遠方でも自社の業界に強い・理解のある税理士事務所に依頼したほうがいいと思います。

オンラインで困るのは税務調査ぐらいで、税務調査の時に出張で対応してもらえるのであれば特段問題はありません。

オンラインで完結する高いクオリティのサービスを提供できるのであれば商圏が広がることは大きなチャンスとなります。

私も県外のお客様(個人事業)が何人かいますが、普段のやり取りで困ることはほとんどありません。

ITツール発展の恩恵を感じます。

ただ、これが規模の大きいお客様であれば難しい部分も出てくるだろうと感じています。
オンラインでは埒が明かない。現場で見て聞いて確認したほうが早いということはでてきます。

顧問先を訪問して感じる社長や社員の反応、現場の空気感、書類・備品の整理状況、倉庫の在庫、周辺の環境などはオンラインでは把握することができません。

オンラインを積極的に利用していくのであれば、この辺をどう対応していくかが課題となります。(割り切ってしまうのも一つの手ですが)

そもそも商圏を広げていくためには遠方でも契約したいと思わせる強みが必要です。

特定の業種に特化している、国際税務に強い、相続税専門、圧倒的に低価格、YouTubeで有名など、名前が知れ渡るほどの強みがなければ難しい。

事務所の規模感でいえば、全国規模の税理士法人が積極的に商圏を広げています。
地域の税理士事務所が全国規模の税理士法人に加わったという話を耳にするようになりました。

業務でいえば、定期的なやり取りが必要となる顧問契約などの継続業務よりもスポット業務のほうがオンラインとの相性は良く、相続税申告、個人の確定申告、スポットのコンサル業務などが先行して商圏が広がっている印象です。

わたしのスタンス

私は顧問先に訪問して直にお会いすること、現場を見ることを大切にしている(自分がやっていて楽しい)ため積極的にオンラインで遠方のお客様を取りに行くという考えはありません。

ご縁があり遠方でも当事務所と契約したいと言ってくださる方にはなるべくご期待に沿えるようオンライン面談等を利用して対応しますが、まったくお会いしたことがないということがないようにしています。

オンラインを利用するにしても、普段の打ち合わせはオンラインで行い、重要な案件の時には直接お会いするなど、オンラインと直接の訪問を併用するスタンスが自分にはあっていると感じています。

この記事を書いた人

広島市中区白島で税理士をしています。30代の開業税理士です。「税理士という枠を超えてお客様の一番の相談役となる」ことを目指しています。
税金や経営に関する情報、日々考えていることを発信していきます。

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