DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が浸透し、コロナ禍も後押ししてデジタル化が急速に進んでいます。
税理士業界も大きな変革期を迎えています。
感じるデジタル化の影響
税理士業界もデジタル化の波が押し寄せています。
10年前は紙ベースで申告書の提出を行っていましたが、今では電子申告が通常業務となりました。
記帳業務では、通帳やクレジットカードの明細、レシートや領収書などをスキャナーで読み込むと会計システムが自動で仕訳データに変換してくれます。
変換した仕訳を訂正した場合、訂正内容を学習して、次回からは間違わないようにしてくれます。非常に優秀です。
これまでほとんど行ってこなかったWeb会議も新型コロナウイルスの拡大を契機に急速に増え、コロナが落ち着いてからも続いています。
直接お会いしての面談の方が良い面もあり一長一短ですが、打ち合わせのための移動時間がなくなるのは大きなメリットです。
顧問先に訪問し、社長と顔を突き合わせて面談し、紙ベースの資料をいただいて帰るというこれまでの税理士業務のあり方が大きく変革してきていると感じています。
変革は絶好のチャンス
私は、デジタル化で税理士業界が大きく変わることは、大きなチャンスだと感じています。
①商圏が広がる。
デジタル化の恩恵により商圏が広がる可能性があります。
一般的には税理士事務所の商圏は車で30分以内というところではないでしょうか。
税理士事務所は地域に根差した事務所が多いため、基本的には事務所の近くがメインの商圏となります。
紹介等により遠方の顧問先を持つこともありますが、移動に30分以上時間がかかるお客様はあまり多くはないでしょう。
しかし、書類はデータで、打ち合わせはオンラインでとなると、物理的な距離が関係なくなります。
どうしても担当してもらいたい税理士がいれば、東京の企業が広島の税理士に依頼することも可能です。
実際に県外のお客様をご紹介いただく機会が増えたと実感しています。
特に、相続税申告や、確定申告などのスポットで行う業務は近隣の税理士に依頼するよりも専門で行っている税理士や低価格で行ってくれる税理士に依頼するということはあるでしょう。
企業に訪問し現場を見ることは大切ですが、関与の仕方、やり方を工夫すれば車で30分以内どころか、全国に商圏を広げることができます。
②技術の進歩により作業効率が飛躍的に向上する。
先に説明しました記帳業務の自動化などAIを利用した技術が飛躍的に向上しています。
近い将来、記帳業務はほぼ自動で試算表作成まで持っていけるようになるのは間違いありません。
申告書の作成も全部ではないにしても、ある程度は自動で作成できるようになるでしょう。
こういった技術革新を取り入れることができる事務所とついていけない事務所では雲泥の差が生じることになります。
③見込み客に対して直接情報発信できる。
SNS,YouTube、ブログなどを活用する税理士が増えてきました。
中にはフォロワーが1万人、2万人を超える方もいらっしゃいます。
私もフォローさせていただき、SNS等を定期的にチェックして勉強させていただいておりますが、皆さん情報発信力がすさまじい!
私も見習わなければいけません。
SNS等で集客するというのは、少なくとも10年前にはなかった営業方法です。
SNS等の活用は、若手税理士、企業規模が大きくない事務所ほど取り組みやすいと思います。
大手の事務所はSNS等を活用せずとも集客できます。
ベテランの先生方はSNSを利用していない方のほうが多いです。
そのため、SNS等を使い慣れた若手税理士や小回りの利く事務所のほうがSNSとの相性はいいと思います。(相性がよくてもSNS等をうまく活用できるかは別の話ですが…)
税理士事務所にとって、「紹介」が集客のメインであることは変わりませんが、異なる集客方法があることは大きなチャンスにつながる可能性があります。
④デジタル化に積極的な経営者が増える。
これからデジタルネイティブと呼ばれる世代の経営者が増えてきます。
あたりまえのようにスマートフォンのアプリやSNSを利用してオンラインでコミュニケーションを取ってきた世代であり、Web会議に抵抗がなく、オンライン対応できるかどうかが税理士事務所の選考基準の一つになることが考えられます。
特に、コロナ禍で学生時代を過ごしてきた10代~20代の方は人と接触しない期間やオンラインでの授業を経験しています。
わざわざ相談のため税理士事務所に足を運ぶよりもオンラインで相談したいという需要は増えてくるでしょう。
オンラインに対応できない、直接会って話してみないとコミュニケーションが取れないという価値観ではチャンスを失うことになります。
まとめ
ほかの業界と同様に税理士業界もデジタル化により大きな変革期を迎えています。
これまでの常識が通じなくなり、ビジネスモデルも大きく変わっていくことが予想されます。
旧態依然とした事務所は衰退していき、変化にアンテナを張って、時代の流れにのった事務所は大きく伸びていきます。
私は将来、メタバース(仮想空間)でお客様とアバターを介して面談する日を楽しみにしています。
波風のたたない状態よりも変革により大きく様変わりするほうがおもしろい!
税理士業界はこれからおもしろくなります。