販売促進の目的で、取引先に販売奨励金を支払うことがあります。
販売奨励金はリベートとも呼ばれますが、取引先に販売奨励金を支払う場合、インボイスはどのように対応する必要があるのでしょうか?
売上に係る対価の返還等に該当する場合
販売奨励金について消費税法では次のように記載されています。
14-1-2 事業者が行う販売奨励金等
事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
消費税法基本通達14-1-2
つまり、販売促進の目的で商品の販売数量や販売高等に応じて取引先に支払う販売奨励金等は、いわゆるリベートであり、「売上に係る対価の返還等」に該当します。
「売上に係る対価の返還等」に該当する場合、販売奨励金等を支払う側(売手側)は、取引先(買手側)に対して、返還インボイスを交付する必要があります。
販売奨励金は、販売奨励金を受け取る側(買手側)が、その金額を計算し、販売奨励金の請求書を交付することがあります。
この場合、買手側が作成する販売奨励金の請求書が返還インボイスの記載事項を満たしていれば、売上に係る対価の返還等の内容が記載された書類が売手と買手で共有されているため、売手側は改めて、返還インボイスを交付する必要はありません。(国税庁 インボイスQ&A問61)
買手が作成する販売奨励金の請求書を返還インボイスの代わりとする場合は、売手側の登録番号の記載(下記記載事項①)を忘れないようにしましょう。返還インボイスであるため、買手側でなく、売手側の登録番号の記載が必要となります。
また、②のうち、「売上に係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」については、課税期間の範囲内で一定の期間の記載も認められています。
例えば、販売奨励金の対象期間が1月から3月であれば「1月~3月分」という記載もできます。
国税庁インボイスQ&A問61より
なお、売上に係る対価の返還等の額が税込1万円未満の場合は、返還インボイスの交付義務が免除されるため、返還インボイスを交付しなくても問題ありません。
役務提供の対価に該当する場合
販売奨励金等が、商品の販売数量や販売高等に応じで支払われるものではなく、販路拡大等の対価として支払われる場合があります。
この場合、販売奨励金等は、リベートではなく、販売奨励金等を支払う側(売手)が、受け取る側(買手)に対して、販路拡大という役務提供の対価として支払うものであるため、役務提供者である受け取る側(買手)が、インボイスを交付する必要があります。
販売奨励金の内容を要確認
販売奨励金等の内容によって、売上に係る対価の返還に該当し、売手側から返還インボイスを交付する必要があるのか、役務提供の対価に該当し、買手側がインボイスを交付することとなるのか、その対応が変わってきます。
まずは、販売奨励金の内容やその性質について整理を行い、その後交付が必要となるインボイスの対応について検討を行いましょう。
(参考)
インボイス制度 簡易インボイスを交付できる事業は? はこちら