どの業界も人手不足が深刻です。
これまで通りでは優秀な人材を確保できないため、採用活動に力を入れている企業が増えています。
採用活動の際に生じる飲食費
採用活動の一環で、就活生や内定者と食事に行くことがあります。
会社の会議室で面談を行うよりもカフェで食事を行いながら話をした方が、就活生等とコミュニケーションがとりやすく、就活生等も質問がしやすいという面があります。
飲食を伴う面談は、就活生の本音が聞きたい企業側と入社前に企業の様子や雰囲気を知りたい就活生の双方にメリットがあります。
この場合、企業側が負担する就活生等の食事代は交際費に該当するのでしょうか?
それとも採用費(会議費)に該当するのでしょうか?
採用費(会議費)に該当する場合
就活生等とカフェなどで食事をしながら面談する場合にかかった飲食代は、採用費(会議費)に該当します。
交際費には該当しません。
交際費とは「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいいます。
就活生、内定者は、ほかの企業に就職する可能性があり、確実にその企業の従業員になってくれるとは限らないため、「その他事業に関係のある者等」に該当します。
しかし、採用活動の一環でカフェで食事をした程度では、「接待、供応、慰安、贈答等のための支出」とまでは言えないため交際費には該当しません。
同じく、仕事内容や職場の雰囲気を知ってもらうため会社や工場を見学してもらい、昼食に弁当や飲み物を出すような場合も接待等とは言えないため、交際費には該当しません。
交際費に該当する場合
採用活動の一環とはいえ、支出した金額や内容、目的によっては交際費に該当する場合もあります。
例えば、内定者に対して入社してもらうことを目的に、研修と称して観光目的の旅行を実施した場合、レストランで高級ディナーを振る舞った場合、内定者全員に高額なプレゼントを渡した場合などは、内定者に対する接待の意味合いが強いため、交際費に該当します。
内定者の囲い込みのため、某有名テーマパークで内定者懇親会を行う企業もあるようです。うらやましい限りですが、交際費に該当する可能性が高いでしょう。
まとめ
就活生、内定者との食事代は、原則的には採用費(会議費)に該当し、全額が損金となります。
食事の目的が接待の意味合いが強く、常識的に考えてあまりに高額である場合は、交際費に該当します。
今後、優秀な人材確保のため、就活生、内定者の囲い込み費用は高額となることが考えられます。
交際費に該当し、損金不算入となる場合があることを認識したうえで支出を行いましょう。
入社してもらうため過度な接待を行い、苦労して入社してもらっても、長く勤めてくれるとは限りません。
入社前に上がった期待値と入社後の現実に落差が大きいと早期退職の原因となってしまいます。
企業としては悩ましいところです。