買手は受け取ったインボイスの記載事項に誤りがあった場合、売手に修正したインボイスを再交付してもらう必要があります。
誤りがある都度、取引先に連絡し、修正したインボイスを送ってもらうのは手間も時間もかかります。
買い手側でインボイスを修正してはいけないのでしょうか?
原則、修正したインボイスの再交付が必要
これまでは、インボイスの記載事項に誤りがあった場合、売手は修正したインボイスを交付しなければならず、買手側でインボイスを修正することは認められていないとされていました。
インボイスQ&Aの問92「交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応」には、売手に対して修正したインボイスの交付を求め、修正したインボイスを保存する必要がある。買手側で自ら追記や修正を行うことはできないと記載されています。
売手に確認を受ければ買手が修正してもOK
令和5年11月13日に更新された「多く寄せられるご質問」の問⑥に下記の問が記載されました。
(買手による適格請求書の修正)
問⑥ 取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがありました。この場合、取引先から修正した適格請求書の交付を受けなければならないと思いますが、例えば、取引先に電話等で修正事項を伝え、取引先が保存している適格請求書の写しに同様の修正を行ってもらえば、自ら修正を行った適格請求書の保存で仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。
国税庁 多く寄せられるご質問 問⑥より
原文ではこの問いについての回答が長々と説明されていますが、重要なのは下記の記載です。
受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。
国税庁 多く寄せられるご質問 問⑥
国税庁らしいわかりづらい言い回しとなっています。
要約すると、「誤りがあったインボイスを買手側で修正して、売手に修正事項の確認を受ければ、その修正したインボイスの保存で仕入税額控除の適用を受けていいですよ」という回答となります。
インボイスの誤りが買手側で修正できる内容であれば、売手への連絡なしに勝手に修正するのはいけませんが、売手に電話やメールで修正事項を伝え、確認を取って修正するのはOKとなります。
売手は買手からの連絡を受けて、自身が保有するインボイスの控えを修正して保存します。
これまで「税率が抜けている」、「消費税額の記載がない」といったインボイスの記載誤りに対して、すべて再交付を依頼してきた事業者にとっては朗報です。
実務に沿った対応といえます。
毎月取引があるような事業者から受け取ったインボイスに記載誤りがある場合は、今後のことも考えて、原則通り修正を依頼したほうがいいでしょう。
【国税庁 多く寄せられるご質問(令和5年11月13日更新)問⑥】
(参考)