開業を決めて初めに取り組んだのがホームページの制作でした。
現在において事務所の物理的な外観以上に、ホームページが事務所の「顔」であり、お客様との最初の接点となります。
ホームページの集客力とその裏にあるネット集客の難しさについて書いてみます。
ネット集客は一筋縄ではいかない
事務所のホームページは開業とほぼ同時に立ち上げました。
自分で理想のデザインや機能を実装するスキルも時間もなかったため、開業準備中に知り合ったプロのデザイナーさんに制作を依頼しました。
デザイナーさんが素敵なデザインや構成を考えてくださいますが、記載する内容や文章は自分で考えないといけません。
事業内容、独自の強み、伝えたい想いを言語化するのは簡単ではなく、悩みながらの制作でした。
お客様が安心して依頼できるよう、料金表は必ず載せると決めていたので開業前から値決めの難しさを痛感しました。
当時は、広島県内はもちろん、全国の税理士事務所のホームページを研究しては、表現方法やアピールの仕方を学ばせていただきました。
デザイナー任せにせず、制作に深く関われたことで、ありきたいなテンプレートではなく、自分の想いが詰まったホームページが完成したと感じています。
しかし、良いホームページができたからといってすぐに検索上位に表示されるほどネットの世界は甘くありません。
特に私の事務所がある広島市は税理士事務所の数が多く、「税理士+地域名」で検索すると、老舗事務所や大規模な税理士法人の立派なホームページがずらりと並びます。
素人がかじった程度の知識でSEO(検索エンジン最適化)対策を行ったぐらいでは歯が立ちません。
「税理士 広島」で検索しても私の事務所ははるか後方です。
それでもホームページがあるのとないのとでは集客力に差が出ると実感しています。
直接的な集客力:様々なデジタル媒体経由での集客
開業から今日までの約1年間で、ホームページ経由でご依頼・ご成約いただいたのは3件でした。
正直なところ、ネット集客に本格的に力を入れている事務所から見れば、「少ない」と感じるかもしれません。
しかし、私自身は「年に1~2件でもホームページ経由で依頼があればいいな」ぐらいに考えていたため、この数字には十分満足しています。
この3件のお客様は、いずれもネット検索からホームページにたどりついたわけではなく、ほかの媒体を経由してのご依頼でした。
具体的には
- ブログ記事を読んで興味を持ってくださり、そこからホームページへ
- グーグルビジネスプロフィール(グーグルマップ)で事務所を見つけてくださり、そこからホームページへ
- SNSでの発信を見て関心を持ってくださり、プロフィール欄のリンクからホームページへ
このように、様々なデジタル媒体で情報発信を続けていたことが、結果的にホームページへの導線となり、最終的なご依頼へと繋がりました。
間接的な集客力:「知ってもらう」ためのツール
ホームページは直接的なネット集客以上に、「私に興味を持ってくださった方が、より深く私を知っていただくためのツール」としての集客力のほうが大きいと感じています。
例えば、私がお客様に名刺をお渡ししたとします。
もしホームページがなければ、お客様は私や事務所について詳しく知る術がなく、「どんな税理士なんだろう」「どんなサービスがあるのだろう」といった不安を解消できません。
その結果、依頼を見送ってしまう可能性が考えられます。
実際、ご紹介いただいた方と面談する際も、お客様は事前に必ずホームページをご覧になっています。
以前、他の税理士事務所との競合になった際に、「選んだ決め手の一つは、ホームページの分かりやすさと内容の充実度でした」と言われたこともあり、ホームページの重要性を感じました。
直接的なネット経由の集客がすぐには期待できなくても、「自己紹介のツール」としての効果は絶大です。
お客様の最終的な意思決定を後押しする役割があると感じています。
また、ホームページ制作では嬉しい誤算もありました。
ホームページ制作をお願いしたデザイナーの方、そしてホームページに掲載する写真を撮影してくださったカメラマンの方々が、その後、ご縁あって顧問先となってくださいました。
ホームページが、新たなビジネスの縁を繋いでくれた形です。これだけでも、ホームページを作って良かったと感じています。
まとめ
税理士事務所にとって、ホームページは単なるネット集客のためだけでなく、ご依頼を検討されているお客様に「知ってもらう」ために必要不可欠なツールです。
まだまだホームページを持っていない、あるいは持っていても情報が古かったり、スマホ表示に対応していなかったりする事務所も少なくありません。
逆に言えば、ここにまだ「付け入る隙」があるとも言えます。
これからもより多くの方に知っていただけるよう、気長にホームページの更新を続けていきたいと思っています。