インボイス制度 契約書のインボイス対応について

契約書のインボイス対応 消費税

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるためには原則として、インボイスの交付を受ける必要があります。

では、家賃の支払いや、税理士への顧問報酬の支払いなど、契約書に基づいて毎月の支払いが行われており、取引の都度請求書等が交付されない場合は、どのように対応すればいいのでしょうか?

取引の都度請求書等が交付されない場合の対応

事務所家賃の支払いや税理士への顧問報酬など、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度請求書や領収書が交付されない取引であっても、仕入税額控除を受けるためには、インボイスの保存が必要となります。

インボイスは、必ずしも請求書や領収書の形式で保存する必要はありません。

契約書にインボイスとして必要な記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載されており、通帳や振込金受取書など実際に取引を行った事実を客観的に示す書類(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を一緒に保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすことができます。

具体的な対応例

(1)新規契約の場合

インボイスの要件を満たす契約書を作成する

具体的には契約書に「発行者の名称及び登録番号」「取引の相手方の氏名又は名称」「取引内容」「税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率」「消費税額」を記載します。

「取引年月日」については、通帳の写しや振込金受取書を保存することで取引を行った事実を証明することができます。

(2)既存契約の場合

①インボイスの要件を満たすように契約書を再作成する。

②既存の契約書ではインボイスの記載事項として不足している事項を賃貸人等から通知を受ける

という2通りの対応があります。
①の契約書の再作成は手間がかかりますので、実務的には②の方法で対応する方がいいでしょう。

「既存の契約書+不足している事項の通知+通帳の写し(又は振込金受取書)」によりインボイスの保存要件を満たすことができます。

既存の契約書では「登録番号」「適用税率」「消費税額」の記載が不足している場合が多くあります。

「登録番号」は、インボイス制度開始によって新たに追加された項目のため過去の契約書には当然記載はありません。
また、賃貸借契約書では、消費税率が改正されてもいいように賃料は税抜金額のみ記載されており、「適用税率」「消費税額」が記載されていない場合が多いです。

その他にも契約書に不足している事項があれば通知してもらうようにしましょう。

不足している事項の通知は、書面で通知書や覚書を作成するだけでなく、メールなど電子的方法による通知も可能です。賃貸人等より通知を受けたら既存の契約書と一緒に保管しておきましょう。

既存の契約書を確認

契約書に基づき代金決済が行われている取引について既存の契約書を確認していくと、契約書が紛失している、又は、そもそも契約書を作成していないなど契約書が見当たらない場合があります。

その場合は、新たにインボイスに対応した契約書を作成するようにしましょう。

また、契約の相手先が免税事業者でインボイスの交付を受けられない場合もあります。

駐車場の賃貸借契約や業界の有識者との顧問契約などは、契約の相手先が免税事業者である可能性が高いです。必要に応じて契約内容の変更等を検討しましょう。

契約書の確認は時間がかかりますが、仕入税額控除を受けることができるようしっかりと準備しておきましょう。

(参考)インボイス制度 買い手が行うべき準備 はこちら

    インボイス制度 旅費交通費の精算まとめ はこちら

    インボイス制度 不動産管理会社が行うインボイスの交付 はこちら

この記事を書いた人

広島市中区白島で税理士をしています。30代の開業税理士です。「税理士という枠を超えてお客様の一番の相談役となる」ことを目指しています。
税金や経営に関する情報、日々考えていることを発信していきます。

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