インボイス制度 税務調査でどこまで確認されるのか?

インボイスは税務調査でどこまで確認されるのか? 消費税

令和5年10月1日のインボイス制度導入から1年近く経過し、インボイス制度が始まってから初めてとなる税務調査を経験する事業者も増えていることでしょう。

インボイスについて税務調査ではどこまで確認されるのか気になるところです。

国税庁のスタンス

国税庁は、インボイス制度施行後の税務調査ついて国税庁の資料で次のような考え方を示しています。

インボイス制度後の税務調査の運用について

○ これまでも、保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施していない。
・ 従来から、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度の高い納税者を対象に重点的に実施。
○ 仮に、調査等の過程で、インボイスの記載事項の不足等の軽微なミスを把握しても、
・ インボイスに必要な記載事項を他の書類等※で確認する、
 ※相互に関連が明確な複数の書類を合わせて一のインボイスとすることが可能。
・ 修正インボイスを交付することにより事業者間でその不足等を改める、といった対応を行う。
○ まずは制度の定着を図ることが重要であり、柔軟に対応していく。

出所:令和5年8月25日 国税庁インボイス制度の周知広報の取組方針等について

これまでの税務調査でも、保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施しておらず、大口、悪質な不正計算が行われていると想定される調査必要度の高い納税者を対象に重点的に実施しており、これはインボイス制度開始後も変わりません。

よって、インボイスの保存書類の確認のためだけの調査は基本的に行わないという考えです。

また、調査中にインボイスの記載事項の不足等が発覚しても、他の書類で不足事項を補えないかを確認する。他の書類で補えない、インボイスに誤りがあるといった場合は、売手に修正インボイスの交付を依頼することで改めるといった柔軟な対応を行っていくとのことです。

始まったばかりでこれまでだれも経験したことのない制度であるため、制度の定着を図ることを重視していくスタンスです。

「インボイスに不備があるから即否認だ!」とはならない、と知っておくだけでも日々の業務を安心して行えます。

いい加減にやっていいわけではない

国税庁は、インボイスに不備があっても柔軟に対応するスタンスを示していますが、いい加減にやっておいてもいいわけではありません。

通常、税務調査は消費税だけでなく法人税や源泉所得税、印紙税等の調査も同時に行われます。
消費税調査でインボイスが不備だらけとなると、当然ほかの税目の調査でも不備が多いのではないか?という印象を与えかねません。

普段からインボイス制度に対応した帳簿の作成や関連書類の保存を行っていくのを前提として、多少のミスは許容されると考えたほうがいいでしょう。

まとめ

制度の開始前からインボイスの調査は、調査する側も大変だろうと感じていました。
税務調査時に調査官がインボイスを1枚ずつチェックしていくのは労力的にも時間的にも無理があります。費用対効果がものすごく低い。

制度の定着を図ることを重視して、柔軟に対応するという国税庁のスタンスは、納税者にとっても国税庁にとっても良いことです!

すべての取引について完璧なインボイスを入手するというのはまだまだ難しい部分があります。
インボイスを発行する取引先の制度理解や協力体制など自社だけではどうにもならない部分もあるためです。
インボイス制度に対応した帳簿の作成や関連書類の保存を行いつつも、神経質になりすぎないようにしましょう。

(参考)
インボイス制度 インボイス登録を取りやめる場合の手続き はこちら

インボイス制度 売手へ確認すれば買手によるインボイスの修正は認められる! はこちら

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