マラソン大会の賞金の課税関係について考える

マラソン大会の賞金の課税関係 税金(その他)

先日おかやまマラソンに参加してきました。

参加賞としてTシャツと完走記念メダルをいただきました。

大きな国際大会ともなれば上位入賞者には賞金が出ます。
東京マラソンだと優勝賞金は1千万円程度になるそうです。
少し前には日本記録を出したランナーに1億円の報奨金が出て話題になりました。

素人ランナーの私には縁のないお話ですが、マラソン大会の賞金の課税関係について考えてみました。

プロ選手の場合の課税関係

ランナーには大きく分けるとプロランナー、実業団ランナー、市民ランナーがいます。

プロランナーとはプロスポーツ選手として企業とスポンサー契約や所属契約を結んで活動する選手のことです。
実業団ランナーとは企業に所属し会社員として企業のサポートを得ながら活動する選手。
市民ランナーとは定義が難しいですがここでは趣味でマラソンを行うランナーとしておきます。

プロランナーの代表格といえば大迫傑選手や川内優輝選手でしょうか。
両選手ともプロ選手としてマラソン界を牽引されておられます。

プロランナーは、個人事業主です。

プロランナーは大会の賞金や企業からのスポンサー料、広告収入などによって収入を得ています。

プロランナーとしての活動にかかる費用は自己負担です。

契約によってスポンサー企業が負担してくれることもあると思いますが、基本的には大会に参加するための参加費用、移動費用、宿泊費はもちろん、普段のトレーニング費用も自分で負担する必要があります。
トレーナーやマネージャーと契約すれば給与を支払う必要もあるでしょう。
これらの費用はすべてプロランナーとしての事業にかかる費用となります。

プロランナーは、事業活動によって得た収入からかかった費用を除いた金額(=事業所得)に税金がかかってきます。

つまり、プロランナーにとって、大会の賞金は事業の一環で得た収入であるため、事業所得に該当します。


アマチュア選手の場合の課税関係

実業団ランナーをアマチュア選手といっていいかどうかわかりませんが、ここではプロ選手以外のランナーと考えてください。

実業団ランナー、市民ランナーは、事業としてマラソンを行っているわけではありません。

そのため、マラソン大会で賞金を得た場合、その賞金は事業所得には該当しません。

もちろん、給与ではないため給与所得にも該当しません。

そうなると、雑所得か一時所得のどちらかということになります。

結論からいいますと、アマチュア選手が賞金を手にした場合の課税関係は、主催者からの賞金は雑所得、主催者以外からの褒賞金は一時所得となります。

国税庁の質疑応答事例に「マラソン大会の賞金・褒賞金の課税関係」が記載されています。

こちらの内容を簡単に解説しますと、主催者からの賞金は、ランナーが主催者の大会に出場してマラソンを走った対価として得たものであるから雑所得に該当します

主催者以外からの褒賞金は、特になんの対価でもなく記録更新等のご褒美として支払われたものであるから一時所得に該当します

例えば、ある実業団ランナーがマラソンの国際大会で日本新記録を出して優勝。
優勝賞金1千万円が主催者から贈られ、主催者以外からは日本記録更新の褒賞金として1億円が贈られたとします。

この場合、優勝賞金1千万円は雑所得、報奨金1億円は一時所得に該当します。

まとめ

マラソン大会の賞金の課税関係は、プロ選手かアマチュア選手かで異なります。

プロ選手の場合は事業所得、アマチュア選手の場合は、主催者からの賞金は雑所得、主催者以外からの賞金は一時所得に該当します。

これは、当然マラソン大会の賞金に限りません。
他の分野の大会の賞金でも同様の扱いとなります。

賞金を得る機会があった方、賞金を狙っている方は課税関係にご注意ください。
確定申告もお忘れなく。

この記事を書いた人

広島市中区白島で税理士をしています。30代の開業税理士です。「税理士という枠を超えてお客様の一番の相談役となる」ことを目指しています。
税金や経営に関する情報、日々考えていることを発信していきます。

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