インボイス制度 無人販売所のインボイス対応について考えてみる

無人販売所のインボイス対応 消費税

最近よく見かける冷凍餃子や冷凍パンなどの無人販売所。
コロナ禍により急速に増えました。

昔からあるものでは農家が栽培した野菜を売る無人販売所があります。
お金を置いて、ほしい野菜を取る形式です。

無人販売所は、インボイス制度が始まってインボイスの対応が必要となるのか?
気になって調べてみました。

ほぼインボイス交付の必要はない

基本的には、インボイスを交付する機会はほとんどないでしょう。

無人販売所は、消費者をターゲット(販売先)としています。

消費者は、消費税を納付することはないため、消費税の計算の際に使用するインボイスは必要ありません。

そのため、インボイスの交付を求められることはほとんどないでしょう。

ただ、インボイスの交付義務が免除されているわけではないため、無人販売所を運営する企業がインボイス発行事業者であり、お客様からインボイスを求められれば交付する必要はあります

インボイスを求められるケースとしては、事業を行っている方(個人、法人)が、取引先への手土産として購入する場合などが考えられます。

全体からするとごくわずかです。

自動販売機特例は対象外

インボイス制度では、インボイスの交付義務が免除される「自動販売機特例」と呼ばれる特例があります。

自動販売機特例では、3万円未満の自動販売機や自動サービス機からの商品の購入等について、インボイスの交付義務が免除されます。

この自動販売機特例が適用できれば無人販売所でインボイスを交付する必要はなくなります。

しかし、残念ながら無人販売所では自動販売機特例は対象外となります。

この特例は、機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するものが対象となっていますが、無人販売所では、代金の受領も資産の譲渡等も機械装置のみにより行われているとはいえません。

実際にセルフレジを通じた販売は特例の対象外となっています。

(参考)インボイス制度 自動販売機特例の適用範囲と要件 はこちら

簡易インボイスを交付できる

無人販売所の多くは小売業であるため、簡易インボイスが交付できます。

そのため、「相手方の氏名又は名称」の記載は不要で、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足ります。

(参考)インボイス制度 簡易インボイスを交付できる事業は? 

実際に店舗を回ってみた

実際に近隣の無人販売所を何店舗か回ってみました。

無人販売所も大きく分けると、①セルフレジが置いてある販売所、②お金を入れる集金箱のみ置いてある販売所があるようです。

取扱商品が多く、料金設定もバラバラな販売所(冷凍パンやお取り寄せグルメ、古着の販売所など)は①、取扱商品が限定されており、料金が均一の販売所(冷凍餃子や野菜の販売所など)は➁が多い印象です。

①のセルフレジがある販売所については、レジをインボイス対応すればいいため、特段問題はないでしょう。

➁の集金箱が置いてある販売所については、そもそも領収書が発行されないため、インボイスの交付は困難です。

私がみた集金箱が設置してある無人販売所では、インボイスが必要な場合はどうすればいいかの掲示はなく、原則としてインボイスの交付は行わないスタンスのようです。
(そもそもインボイス登録事業者ではないためインボイスを交付できないためかもしれませんが)

企業側はインボイスの交付を求められたとしても、販売所は無人ですから、お客様がいくら支払われたかの確認が困難であり、実務的にも対応は難しいといえます。

「盗まない、金額をごまかさない」という性善説を前提になりたっている事業ですから、インボイスが必要な場合は、購入した金額を企業に自主申告して交付してもらうしかないのかなと思います。

そこまでして、インボイスを求められる方は少ないかもしれませんが。

初期費用を抑えて、低コストで運営していくビジネスモデルであるため、ひと手間かかるインボイスとの相性はよくないといえます。

タイトルとURLをコピーしました